UK — The Register
不正なLLM利用料金で企業に1日10万ドル超の損害、トークン窃盗が横行
セキュリティ2分で読めます
泥棒が企業のAI(LLM)のアクセス権を乗っ取り、高額な利用料を企業に負わせる問題が広がっています。Googleのセキュリティ調査チームは、1日10万ドル以上の被害が出た例があると報告しています。
何が起きたのか
攻撃者が企業のAIサービスの『鍵』(トークン)を盗み、その鍵で高性能なAIを勝手に大量に使っています。被害企業には、使った分の料金が請求されます。Googleのセキュリティ調査チーム Mandiant は、一部の企業で累計100万ドルに達した例もあったと述べています。被害企業がアクセス権を取り消すまで、請求は増え続けました。
数字で見る被害
- 1日の不正請求が10万ドルを超える場合がある
- 累計の被害が100万ドルに達した企業もあった
- ある攻撃者は2分間で約20万回のAPIリクエストを送った(CrowdStrikeの8月の報告)
- あるケースでは、攻撃者が8時間足らずで50万回以上のLLM API呼び出しを実行した
LLMジャッキングとは
AIのアクセス権を乗っ取って悪用する手口は『LLMジャッキング』と呼ばれ、この2年間で着実に増えています。攻撃者は盗んだAPIキーで新しいキーを作ったり、クラウドのサービスを有効にしたりします。さらに、被害者の口座を有料プランに登録して、高性能なAIモデルを使うケースもありました。
役割分担が進む犯罪グループ
Googleによると、犯罪者の間では役割分担も進んでいます。最初に侵入してクラウドやAIサービスへの足がかりを作る人と、盗んだアクセス権を使って金を稼ぐ仕組みを運営する人がいます。後者は『LLMミキサー』と呼ばれています。Jet Nightという『トークン中継サービス』は、盗んだキーで動いている可能性があるとGoogleは見ています。安い料金で高性能AIを提供していたためです。
なぜ重要なのか
AIを使う企業が増えるほど、狙われやすくなります。被害は、想定外の請求だけではありません。攻撃者がAIを使えば、防御側より速く大量の攻撃を仕掛けられる恐れもあります。Googleは、AIのアクセス権をしっかり守ることが、企業と社会全体の守りにつながると述べています。
用語解説
- LLM
- 大量の文章を学習して、文章を作ったり質問に答えたりする大型のAIモデルのこと。
- トークン
- AIが文章を処理するときの最小単位。AIの利用料は、このトークンの量で決まることが多い。
- API
- ほかのソフトウェアがAIなどの機能を呼び出すための窓口のこと。
- Mandiant
- Googleのグループで、サイバー攻撃を受けた企業の調査や対応を行うチーム。
- CrowdStrike
- サイバーセキュリティの対策ソフトやサービスを提供する会社。
- Jet Night
- 盗まれたAPIキーを使っていたとみられる、トークンを安く中継するサービス。